低コスト製造業のブームは終焉を迎えます。アジアの発展途上国の経済は対応できるのでしょうか?
輸出主導の開発戦略は、アジア太平洋地域全体で60年以上にわたり経済成長を促進する中心的な役割を果たしてきました。中国は間違いなく最大の成功例ですが、中国だけではなく日本、韓国、香港、台湾なども競争力のある輸出振興策を掲げて急速な経済発展を遂げました。この数十年は、貿易と投資の自由化により市場は開放される一方で、保護主義のイデオロギーも弱かったので、輸出主導型の戦略が成功する上で極めて好都合な環境でした。過去20年間は、外国直接投資が低コストで豊かな労働力を持つ途上国に注ぎこまれ、資本や技術、国際市場の知識をもたらしました。多くの発展途上国では、工場が建設され、輸出が急速に拡大することによって急激な成長軌道が描かれました。しかし、今日では、輸出主導型の開発戦略の優位性を低下させる変化が生じています。
私たちが「輸出主導」の開発戦略について話すとき、製造品の輸出がその対象になります。そして、今日の製造業の世界で進んでいる実質的な変化は、輸出主導の成長戦略に深刻な影響を与える可能性があります。世界銀行は最近、このトピックに関する優れた報告を行いました。
オートメーション、スマートファクトリー、ロボットの導入の加速は、低コスト労働に依存する開発途上国の競争力を低下させる要因となっています。昨年の産業用ロボットの売上高は前年から約30%成長しました。同時に、人工知能はこれまで人間にしか処理できなかった認知課題に対応できるようになってきています。こういった技術の進歩が、生産地域を決定する要因としてのワーカーの賃金の重要性を低下させています。
同時に、今日では製造過程における洗練されたサービスの重要性が増しています。今日のインターネット中心の経済では、消費者は特注品やジャスト・イン・タイム・デリバリーの要求が多く、低賃金のワーカーを活用した製造だけでは対応できません。そのためには、発展途上国では一般的ではない、世界レベルの物流や最先端の情報・コミュニケーション技術の導入が要求されます。
多くの開発途上国市場にとっての優位性である低賃金労働者の相対的重要性が低下することによって、製造業および輸出プラットフォームとしての発展途上国市場の魅力は必然的に低下するのです。実際に、製品に関わらず、雇用しなければならない労働者数も減っていきます。中国を例にすると、Foxconnは産業用ロボットの導入により、工員6万人分の雇用を削減しました。
自動化が進むことで、賃金コストは下がります。つまり、雇用人数を削減することにより、過去のように賃金を多く支払う必要がなくなるのです。この傾向は、「早期の産業の空洞化」という現象を引き起こしています。そのため、低・中所得国では、開発の初期段階で製造のピークに達し、1人当たり所得水準が年々低下する現象が起きているのです。例えば、西欧では製造業は1990年に所得水準が約14,000ドルとなった頃がピークでした。しかし、インドやサハラ以南のアフリカでは、約700ドルで製造のピークに近づいているようです。
これらの根本的な変化は、将来の輸出主導の開発戦略の動向が、東アジアで経験したものとは大きく異なることを意味します。しかし、上記の内容は、製造業における変化の一部にすぎません。貿易政策の環境の大きな変化が、それと同じくらい大きな影響を与える可能性があります。
過去60年間、世界は、GATTそして今日のWTOの下、貿易と投資の自由化を拡大し続け、二国間および地域間の自由貿易協定(FTA)の締結も進みました。米国は自由貿易の繁栄と、ルールに従った貿易体制構築の原動力となってきました。
しかし、今日、私たちは全く異なる世界に入ってしまったようです。米国は現在、貿易や自由貿易協定、そしてWTOに対して、公然と疑問を呈しています。貿易を制限する動きが世界的に増加しており(昨年は47%増)、WTOは包括的な多国間貿易自由化の実現が困難だと考えるようになりました。
もはや、世界が自由貿易に向けて進む時代ではなくなり、米国のような巨大な先進国がこれまでのように市場を開放することもなくなりました。輸出主導型の開発戦略が、製品を輸入する意欲と能力を持つ外国市場がなければ成立しないのは明白です。
まとめますと、これらの新たに直面する現実はいくつかの重要な意味をもたらします。:
日本、韓国、台湾、中国が発展したような成長の道を、次に続くベトナムやバングラデシュ、ミャンマー、カンボジアなどの発展途上国が同じようにスムーズに歩める状況ではなくなりました。発展途上国は、比較優位点である低賃金だけを頼りにはできなくなりました。技術への適応性とサービス部門の能力が今後はますます重要になります。製造業における輸出の見込みに期待できないため、政府は輸出可能なサービス分野における比較優位性を高める必要があります。
低賃金労働者がこれまで同様の比較優位とならないため、途上国は、これまで後回しにしてきた法の秩序、汚職、技術基盤などの弱点への対処を至急加速させる必要があります。現地の労働力の競争力を高めるためには、必要な技能を獲得するための質の高い教育システムへのアクセスを可能にする必要があります。また、製造業の仕事が減少する一方で、移民労働者が増える懸念もあります。
発展途上国が新たな課題に対処するには、外国直接投資が重要な役割を果たします。政府は、外国企業にとって魅力的なFDI制度の構築に真剣に取り組むだけでなく、FDIが経済開発の目的とニーズに沿った内容で実施されるように管理する必要があります。
オープンマーケットはこれまで以上に重要ですが、当たり前に存在するものではなくなりました。
もちろん、貿易は引き続き成長の重要な原動力であり、発展途上国にとっても経済開発戦略の重要な要素であることに変わりはありません。しかし、東アジアで1〜2世代に渡って黄金時代をもたらした輸出主導の成長は過去のものかもしれません。政策立案者は、新たに直面するであろう現実に備える必要があります。Stephen Olson氏は、ハインリッヒ基金の研究員であり、現在、香港科学技術大学の客員研究員も務めています。

2017年10月にベトナム労働法が更新されましたので日本語訳を記載します。

Ⅰ.2018年に適用となる地域別最低賃金の増加に関する草案

労働傷病兵社会省(MOLISA)は、国家賃金評議会が2017年6月と7月の月次報告で述べた通り、2018年に平均6.5%の最低賃金増加を規定する法令案を発行しました。これが政府に承認された場合、2018年1月1日から新しい最低賃金が以下の通り適用されます。
法律では、最低賃金を「通常の労働時間で、一定の労働生産基準または雇用契約で合意された労働義務を満たす通常の労働条件の職業に就く被雇用者に適用される最低の月次賃金」と規定しています。ベトナムでは、最低賃金額を異なる4つの地理的地域で分類しており、例えば、ハノイやホーチミン市などの都市部はI地域に区分されています。また、最低賃金は、雇用者と従業員が支払う失業保険拠出額を計算する際の上限額を決定するためにも使用されます。したがって、法令が発効した場合には、従業員に適用される最低賃金と失業保険料の掛け金の増加により、人件費が増加することになります。この法案に関する意見とコメントは、2017年10月23日まで受け付けられました。

Ⅱ.今後の行政手続きと戸籍文書の簡素化

2017年9月下旬に、政府は、MOLISAの管轄下で、戸籍管理に関する行政手続と関連文書の簡素化に関する決議第93号/ NQ-CPを発行しました(以下、「決議」)。特に、政府は、申請書類で要求された不要な文書や情報の数を削除し、戸籍番号のような情報を補完することにより、行政手続や戸籍書類を簡素化する計画を承認しました。この決議は、労働安全衛生、社会保障、職業教育、労働(給与と雇用に関連)、社会悪の防止、海外労働管理および雇用に関する行政手続に焦点を当てたものです。
この実施に当たって、政府は、MOLISAを監督省庁と任命し、他の関連省庁および当局と連携して、決議に定められた関連規定を修正、補完、取消し、または廃止する法令を策定させます。これにより、決議を遂行するために、いくつかの新法案が間も無く公布される見込みです。

Ⅲ.2018年のMOLISAによる監査計画

2017年10月16日、MOLISAは、2018年の監査計画の承認に関する決定1628 / QD-LDTBXH(以下、「決定」)を発行しました。本決定には、次年度MOLISAから監査を受ける約810社の株式会社、各種企業、子会社、関連会社、建設プロジェクト、職業訓練機関、およびその他の団体(総称して「事業体」)のリストを含む14の附属書が添付されています。
検査は、以下の2種類があります。
(i)閣僚レベルの監査には、地域、安全衛生、労働政策、海外労働、職業病、国の決定に対するサービスの功績、子供と共同体、社会保険政策および行政および汚職に関する検査が含まれます。そして、
(ii)MOLISAの専門機関によって実施される特別検査では、職業教育部門、職業安全衛生部門または海外労働管理部門に関する監査が含まれ、各専門機関が管轄する規制の遵守状況を確認します。
検査スケジュールは、決定に基づいて提示されます。監査を受ける事業体は、情報を十分に確認し、検査の準備をする必要があります。この決定の写しを希望される場合は、弊方に連絡してください。

緑豊かで利便性が優れ、コミュニティー意識に溢れる日本の大型モデルタウンが神奈川県の藤沢にあります。化粧品メーカーに務める道端氏は、1年前に東京の中心部から隣の神奈川県に引っ越したとき、通勤時間が2倍になることもあり、それが正しい判断であったか、わかりませんでした。彼は妻の両親の近くに住むために引っ越しましたが、移転先はとても生活しやすい場所でした。道端氏が引っ越したのは普通の住宅ではなく、二酸化炭素削減のモデルプロジェクトとして日本政府が推進したスマートタウンです。
フジサワ・サスティナブル・スマートタウン(SST)と呼ばれる600億円(7億4000万シンガポールドル)のプロジェクトは、既存の都市で技術革新を推進する埼玉県のような地域行政主導の取り組みではなく、パナソニックが推進する日本で初めての企業主導のスマートタウンです。

シンガポールのトニー・タン大統領は、先月東京のパナソニックセンターの展示場を訪問し、同社が創造する「2020年の日常生活」を視察しました。
展示されていた技術の一部は、既に藤沢のスマートタウンで活用されています。全家屋に個別のソーラーパネルが付いており、オプションで水素燃料電池も設置できます。居住者は余った電力を電力会社に売却することもできます。また、街から400mの場所にソーラーパネルが設置されています。
自然災害や停電が発生した場合でも、街全体がオフグリッドのエネルギー備蓄のみで3日間維持できるため、住民は安心して暮らすことができます。
道端氏(30)は太陽光発電などの再生可能資源の活用や、二人の子供の安全を確保する50台のセキュリティカメラが監視するゲートレス安全システムに感銘を受けました。また、家の中には、最新の警報を入手できる災害警報や気象情報システムがあり、タッチパッドで照明の光量や室温の設定、ブラインドの開閉もできます。
一棟二軒のスタイルで1軒が50万ドル(約722,000シンガポールドル)ですが、この街には1,000人以上の住民がいます。
この街は2020年に完成し、3000人以上の住民が住むことができます。600軒の一棟二軒スタイルの家屋と400軒のコンドミニアムが建設される予定ですが、既に350軒に入居しています。
このプロジェクトは、パナソニックが主導する18の公共及び民間の企業のコンソーシアムで推進され、パナソニックの住宅関連子会社のパナホームや三井不動産などの不動産企業も参画しています。
この土地は、2007年に閉鎖されたパナソニックのテレビと冷蔵庫の工場跡地です。
パナソニックのビジネスソリューション事業部の宮原部長は、「当時、『エコシティ』という概念は世界中で浸透していましたが、『スマートシティ』は存在しませんでした。」と語りました。
「私たちは、モビリティ、セキュリティ、ウェルネス、コミュニティの全てを備えたスマートシティのコンセプトを拡大していきます。」
宮原氏はシンガポールの議会のような役割を担うFujisawa SSTマネジメント株式会社の社長でもあります。パナソニックは、第2のSSTプロジェクトを横浜近郊の綱島にある同社の携帯電話工場の跡地でスタートしています。
ここは他の9社と提携し、2018年に完成する計画ですが、慶應義塾大学の学生寮とアップル社の研究施設も入居します。
Fujisawa SSTでは、二酸化炭素排出量の削減目標が設定してあり、電力や水を無駄に使用しようとすると警告が鳴ります。
二酸化炭素排出削減の取り組みとして、レンタル用の電気自動車も準備されています。街灯は、車両や歩行者が接近すると自動点灯します。
コミュニティセンターや遊び場、庭園、湘南T-SITEと呼ばれる商業施設などの快適な生活環境を提供し、コミュニティー意識を高める工夫もしています。
ウェルネススクエアには、高齢者介護と託児のサービスもあります。
集荷所が隣接し、各家庭への配達物の集中管理をしています。住民はスマートテレビで配達日時を設定できます。
宮原氏の部下の和田氏は「住民の生活に焦点を当てたサービス志向に取り組みます。」と話しました。住民からのアイディアも大歓迎です。ハロウィンのイベントや英会話教室も開催しています。
東京の代官山など日本で4軒の商業施設を保有するT-SITEは、3つのブロックで構成され、カフェ、本屋、商店、学習教室があります。子供達が遊ぶ傍らで友人とのおしゃべりを楽しむ主婦の清水氏(37)は、Fujisawa SSTのコミュニティー意識を気に入っています。「忙しい東京とは違って、コミュニティー意識を育むイベントがたくさんあるので、友人がどんどん増えていきます。」と話しました。

ここ数年のうちに、東芝はさまざまな部門を売却してきました。最近の会計スキャンダルと苦戦している原子力事業での損失を取り戻すために、決算数値を改善するための手段として貴重な事業の売却が行なわれています。
今回売却の対象となっているのが、東芝のテレビや関連する電子機器の製造を担っている東芝映像ソリューション株式会社(TVS)です。東芝は、TVSの事業をハイセンスに売却し、129億円(1.13億米ドル)の買収契約を締結したと発表しました。東芝は5%の株式を維持して、残りの95%をハイセンスに売却した形となります。ハイセンスは、この買収で、TVSの生産、研究開発、販売機能に加えて、ヨーロッパや東南アジア等で活動する映像関連企業向けに東芝ブランドを40年間使用するライセンスを獲得しました。
ハイセンスのリュウホンシンCEOは、TVSの研究開発リソース、サプライチェーン、世界的な販売チャンネルの最適化に取り組むことを表明しました。加えて、ディスプレイ技術の開発とスマートTVのコンテンツサービスで両社が相互に支援する体制を整える計画です。
いくつかの報告によると、この契約は2月まで決着しない見込みであり、現時点で、1月のコンシューマー・エレクトロニクス・ショーでの新製品発表の機会には間に合いそうもありません。
TVS事業の売却は、2015年のソニーへのセンサー事業の売却と、今年9月のベインキャピタルが主導するグループへの半導体メモリ部門の売却に続くものです。
ハイセンスは、新規部門の獲得を積極的に行っており、昨年はシャープのメキシコ工場をシャープブランドでテレビを生産する権利と併せて2370万米ドルで取得しました。しかし、シャープ本体がその後ホンハイに売却され、ホンハイ・シャープはハイセンスに対してシャープブランドの使用権を取り戻すために、ハイセンスがシャープブランドを傷つけているとして、法的措置を取っています。

パナソニックマレーシアは、製品が、将来、どんな場所にでも広く使用されるような技術ソリューションを提供するブランドを志向しています。
「Home2Comソリューションセンター」の設立によって、同社はこの目標の実現に一歩近づけたのかもしれません。
クアラルンプールのBangsar South地区にある「The Vertical Podium」内の3,917平方フィートのスペースに、家庭用・公共用・商用の3つのカテゴリーに対応したさまざまな製品が展示されています。
この施設はアセアン地域では初めてのB2B向けに実際の使用がイメージできる参考展示を設置したものです。
「当社は製品とソリューションの開発に取り組み、これまで以上に大きなプロジェクトに対応できるようになりました。
当社の事業基盤である生活家電だけでなく、着実な成長を継続するために住宅事業や商業用エアコン、エコ環境システムソリューションを中心としたB2B事業も拡大しています。」とチェン氏は説明しました。
「この施設は、単なる製品の展示だけではなく、お客様にアイデアを創出してもらえるようなインスピレーションを提供できるように工夫されています。顧客のターゲット層は不動産開発事業者、ホテル経営者、政府関連企業、教育機関、金融機関の5業種です。パナソニックは多数の製品を保有していますが、B2B向けのソリューションに対応したフレームワークとして「3×5」マトリックスコンセプトを策定しました。このマトリックスには、家庭、街、商業の3つの空間に対して、空気の質(IAQ)、エネルギーとLED、セキュリティ、スマートマネジメント、家電の5つの製品ソリューションが提供されます。この施設で、お客様には、3つの空間に適用できる製品ソリューションが実際にどのように使用されるかを見て頂くことができます。製品とソリューションのラインナップには、IAQ、エネルギー・LED照明、セキュリティ、通信、専門家向け視聴覚装置(AV)、スマートソリューション、家電が含まれます。B2B関連のお客様には、家庭用、公共用、商用の3分野に関する技術ソリューションを見て、体験して頂くことが可能です。このセンターにお越し頂ければ、B2B関連のお客様との対話の中でコンセプトをご理解頂き、パナソニックが提供できる総合的なソリューションの活用を思い描いて頂けます。それだけでなく、ワークショップを実施頂いたり、デザインと計画について議論するコミュニティ・ハブや多くのビジネスを創造する場としてもご利用頂けます。」とチェン氏は詳細を説明しました。
パナソニックは約2百万RMをかけてこの施設を建設しました。
チェン氏は、このソリューション・センターの完成によって、パナソニックはB2Bパートナーと協力し、ビジネスをさらに拡大し、マレーシア人に提供する準備が整ったと説明しました。

世界銀行は、成長著しい東アジアと太平洋地域の今年と2018年の経済成長予測を上方修正しましたが、先行きは貿易保護主義と地政学的緊張の高まりなどのリスクによって明確な見通しが難しい状況です。
ワシントンを拠点とする金融業者は、中国を含む発展途上の東アジア・太平洋地域の成長率を2017年に6.4%、2018年には6.2%と見込んでいます。
前回の4月の予測では、2017年は6.2%、2018年は6.1%の成長と見込まれていました。
日本と韓国などの先進国を除き、成長率が0.2ポイント上昇して6.7%となった中国が成長をけん引すると、この金融機関は最新の東アジア・太平洋地域に関する経済レポートで報告しています。
経済学者は、中国の環境問題改善に向けた取り組みが経済に好影響を与え、物価を引き上げるだろうと説明しました。
「この地域の経済の見通しは、外部環境の改善だけでなく、強力な国内需要の恩恵が期待できるので引き続き良好である。」と世界銀行は、水曜日に発表した報告書で説明しました。
一方で、世界銀行は、グローバルな取引の阻害要因となる貿易保護主義や経済的ナショナリズム、域内の地政学的緊張の高まりによるリスクに直面しているとも説明しました。
最近、米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩労働党委員長の敵対的な発言が増えており、特に9月3日に6回目となり、過去最大規模の核実験が行われたことから、戦争を引き起こす不測の事態となる懸念があります。
「この地域が世界の輸送と製造のサプライチェーンの中心的役割を担っていることから、これらの緊張の高まりが世界の流通と経済活動を混乱させる恐れがある。」と世界銀行は述べました。
また、金融市場が不安定となり、地域の経済成長の阻害要因となる可能性があるため、「リスクの低い資産への逃避」により資本が流出する可能性があると世界銀行は説明します。
世界銀行は、中国の2017年の成長を6.7%、2018年を6.4%と見込んでいます。前回の予測は、2017年が6.5%、来年が6.3%の成長を見込んだものでした。
中国の経済成長は2018年から19年に緩やかになると予想されており、経済が投資と外需から国内消費に向かいバランスする見込みです。
世界銀行は、マレーシアとタイの成長予測を高める一方で、ミャンマーやフィリピンを含む東南アジアのいくつかの国については予測を引き下げました。
世界銀行は、「 ミャンマーの企業は、政府の経済政策がはっきりするのを待っているため、投資が遅れているようだ。」と述べました。
ミャンマーの成長予測は、2017年、2018年とも0.5ポイント低下し、それぞれ6.4%と6.7%となりました。
「これらの予測は、ラカイン州での不安継続による長期的な影響を考慮していないので、不安が引き続き存続すれば、外国投資の減速による重大な悪影響を及ぼす可能性があります。」
8月下旬にラカイン州でミャンマー軍が開始した弾圧により、50万人以上のロヒンギャが難民となりましたが、国連はこれを「民族浄化の典型例」として非難しました。
また、フィリピンでは、予定されている政府のインフラ計画の遅れが経済成長の見通しを軟化させたと世界銀行は説明します。
マレーシアは、投資の増加と国際貿易の回復により成長が持ち直しており、また、タイは、輸出と観光が堅調に復調していることから、上方修正されました。

クアラルンプールにある日本の伊勢丹百貨店の一店舗が、市内中心部のペトロナス・ツインタワー近くの商業施設にあります。

10月に1周年を迎えた日系小売店である伊勢丹のクアラルンプール支店はライフスタイルに関連する製品とサービスを専門としており、現地のスタイルと融合させたブランドを展開しています。
この店舗では、800種類を超える日本の食品や衣類などを扱うブランドがあり、フードコートでは日本料理を楽しめる他、マレーシア人デザイナーによる着物の生地を使ったドレスの様に文化を融合させた商品もあります。
2016年10月27日に開店した「Isetan The Japan」は、11,000平米の6階建ての施設で、クアラルンプールの商業・エンターテインメント地区であるBukit Bintangにあり、500の日系ブランドを独占的に販売しています。
最近のNNAのインタビューで店長の古家氏は「私たちは常にお客様から肯定的なフィードバックを受けています。日本を訪問したお客様からは、伊勢丹新宿店(東京の旗艦店)と同等と評価して頂き、とてもありがたく感じています。」と話しました。
この店舗は、伊勢丹三越ホールディングスとクールジャパン機構のジョイントベンチャー(海外で日本の文化や商品を拡販するための官民投資ファンド)が運営していますが、古家氏は分野毎の売上高と業績については言及しませんでした。
古家氏は、原宿のファッション(色、デザイン、個性を織り交ぜてデザインされた若者向けのストリートファッション)が想定ほど人気が出なかったので、他のブランドと置き換えた例をひき合いに、試行錯誤して従来の百貨店の店舗を改善した取り組みを説明しました。
着物の生地で作られたドレスは、今年のハリラヤ(イスラム諸国の断食後の祭り)の期間に販売が伸びました。「これは、日本の文化に現地の特色を加えて、地元の顧客と共有した一例です。
また、マレーシアでは外食文化への関心が非常に強いので、顧客がダイニングを楽しめるように最大限の工夫をしています。購入した高級牛肉をその場で調理したり、シーフード店で購入した刺身(スライスした生魚)をワインカウンターで日本酒を飲みながら楽しむこともできます。」と古家氏は話しました。
顧客の90%は地元住民が占めており、他には観光客が訪れます。商品の価格帯は、一部に高級品も含まれますが、より広範な顧客層に対応できるように幅を持っています。
店舗のコンセプトは、決して変わることのない、日本の誇れる価値観を拡げていくことですが、マーケティング戦略においては「製品中心から市場への移行」という点に着目し、ビジネスにこだわるよりも消費者のニーズに焦点を当てるようにしています。

シンガポールで事業を展開する日本の有名企業は、同国の教育水準を評価し、従業員への教育プログラムを展開しています。
パナソニックやNEC、ワークスアプリケーションズといった日系企業が、学生向けのインターンシップ制度やマネジメント研修プログラムを通じて、シンガポールの才能に高度なスキルを提供する取り組みを行っています。
先月、パナソニックは冷凍圧縮機事業をシンガポールにある同社最大のコンプレッサー製造工場に移転しました。これにより同社は、意思決定プロセスを合理化し、現地の人材プールの整備を進める予定です。
シンガポールで400人規模の研究開発部門を運営するワークスアプリケーションズは、現地の5つの大学と連携したインターンシップを開始しました。このプログラムでは中途採用の専門家向けの研修も行います。
同社広報担当者は、シンガポールではプログラマーやコーダーといった情報通信技術分野のスキル不足が急務であり、人材を訓練するための実地研修を提供すると述べました。
シンガポールの経済開発局(EDB)のニャン副局長は、「日本はシンガポール独立以来の3大投資国の1つですが、現在においてもアジアの有力な人材拠点としてシンガポールに期待しており、優れた雇用創出を通じて貴重な産業知識と管理スキルの移転に取り組んでいます。」と説明しました。
パナソニックは、冷凍機部門をシンガポールに移転することにより、アジアでの需要への対応と、意思決定の合理化を効率的に進めることができると考えています。その部門を受け入れるシンガポールの工場はビッグデータ技術などを使用する 「スマート工場」になり、結果として、シンガポール人も恩恵を得ることができます。
「シンガポールは研究開発(R&D)に資する国です。多くの公的研究機関や世界的に有名な大学があり、才能が不足しているわけではありません。」とパナソニックの広報担当者は述べました。
NECはシンガポールにアジア太平洋地域の統括部門を持っており、昨年、2年間の人材育成プログラムを開始しました。これまで9名の研修生を雇用しており、来年までに26名に増やす計画です。
また、1年間のサイバーセキュリティに関する研修プログラムではEDBと提携しています。これまで10名が情報分野の科学捜査やマルウェア分析などの訓練を受けた後、サイバーセキュリティエンジニアとして雇用されています。
NECの広報担当者は、シンガポールのイノベーション支援と国家のスマート化への熱心な取り組みは、NECが日本以外の国で初めてのグローバルセーフティ部門となる研究施設を設立させる要因になったと説明しました。
三井化学もシンガポールにアジア太平洋部門の拠点を持っており、2012年から技術系学生向けの奨学金やインターンシップを設立し、受賞者は卒業後に技術者として同社に入社できる仕組みを作りました。
2002年から200名以上に研修を提供しているゲーム開発企業のコーエーテクモのWong上級副社長は、
「当社を離れた人でも、他社でリーダーやマネージャーになった人もいるし、ゲーム開発の指導者になって人材育成のサイクルを作り上げた人もいます。このプログラムで日本の開発チームと同等の人材を育成し、世界中の顧客に優れた製品を提供したいです。」と話しました。
EDBのLim氏は、「今日のデジタル時代には、日本がグローバルリーダーとなっているプロセスオートメーションやロボット分野、IoT(Internet of Things)分野など多くの機会があります。これが若いシンガポール人を鼓舞し、イノベーション主導の経済を構築するための原動力となるでしょう。」と述べました。