ASEANは第4次産業革命を目指す

火曜日 , 23, 1月 2018 Leave a comment

2017年11月に第31回ASEAN首脳会議に出席したASEAN首脳は、国際的な発展途上国グループとして最長となる50周年を祝いました。
主要な議題は、地域の安全保障とテロリズムの高まりへの対応です。これは、ベトナム戦争中の政治安全協定としてASEANが誕生したルーツに根差した根本的な課題です。
実際に東南アジアの平和と安定の維持におけるASEANの役割は、無いとは言えませんが、過小評価されることが多いです。その理由は明白です。戦争を誰にも知られずに実行することはできませんが、平和な時期は静かに過ぎていくものです。ASEANは、平和の配当を提供するに値する信用が共有されています。しかし、さらに進んだ、経済的成功を成し遂げるには、異なる協力の仕方が必要となるかもしれません。
9月に開催された第49回ASEAN経済大臣会合の主要成果として、2017年のサミットの全体的な優先事項を「包括的なイノベーション主導型の成長」とすると纏めました。これは、貿易と投資の拡大、マイクロ・中小企業(MSME)のグローバルバリューチェーンへの統合、革新主導型経済の促進の3つの戦略的措置によって支えられます。
貿易の減速は底を打ったと考えられ、それは、マレーシアやインドネシアなどの国では国内民間投資と外国直接投資が徐々に回復しており、メコン諸国でも引き続き堅調に推移しているという兆候に表れています。この成長を維持するためには、改革を継続する必要があります。関税の自由化に関する成果は、貿易における重大な障壁である非関税措置の拡大によって部分的にではありますが、相殺されました。
クロスボーダー投資の新たな成長のトレンドには、MSMEが関わっており、最新のASEAN投資レポートはこれをテーマにしています。イノベーション主導の経済は、いわゆる第4次産業革命(4IR)によってもたらされる課題と機会の両方に対応しなければなりません。
アジア開発銀行が世界経済フォーラムで「ASEAN地域経済統合における4IRの意味は?」というテーマで議論した通り、3つの戦略項目は全て関連しており、特に後者2点の重要性は、次回のサミットで首脳に提案される予定です。
報告書は、開発レベルと負の相関がある加盟国の準備水準の差異の存在と、それに対処しない場合に開発のギャップが如何に拡大するかを指摘しています。
4IRの主な課題の1つは、ロボット技術や人工知能の高度化によるオートメーション化の加速に起因する雇用の喪失です。雇用損失の懸念がさらに拡大すると予想される国もあります。熟練度の低い組立作業員などの繰り返し作業が最も危険な状況であり、また、ビジネスプロセスのアウトソーシングなどの事務作業も今後は脅威にさらされます。
即応策として、非熟練労働者の流動性を拡大することにより、労働者派遣国の失業を減らすと同時に、双方の経済不平等が拡大しないレベルで労働者受入国の成長も維持します。
中期的には、新しい産業が成長し、労働者は新しいスキルの獲得が必要になります。人的資本の改善に向けた投資は今すぐに始める必要があります。必要なスキルは、単純な技術的な能力に加えて、創造性と革新的な問題解決能力が求められます。さらには、この変化の加速によって、成人への追加教育と生涯学習が必要となります。初期の教育だけでは十分に対応できないのです。さらに、各国の就労査証の調和と合理化を促進する一方で、相互認証協定は新たに生まれる職業をカバーするために拡大する必要があります。
ASEAN内の企業の90%以上がMSMEであり、ほとんどの雇用を加盟国同士で提供しています。この90%のために、4IRの重要な機会の1つとして、MSMEを強化するための「破壊的技術」の可能性があります。
MSMEはビジネスや金融サービスへのアクセスの制約を受けやすいですが、ブロックチェーン技術は、国境を越えた金融取引や物流のセキュリティを劇的に高める可能性があり、また、これらのサービスは比較的未開発の国にも導入可能なものです。この技術は、ASEAN諸国の中で最も貧しい国の最も小さい企業にも利益をもたらす可能性を秘めています。
オンライン市場の拡大・普及によって、MSMEが地域や世界の市場にアクセスするためのプラットフォームも整備されています。
4IRは、MSMEをグローバルバリューチェーンに統合することによって、ASEANにより大きな包括目標を達成する機会を提供しますが、引き続き貿易と投資を誘致し、イノベーション主導の経済を可能にするための課題は残ります。
域内における新技術がもたらすであろう不平等な影響を考えると、包括的成長の促進に向けた取り組みは、域内の平和を支える重要な柱と言えます。経済的不平等の拡大は、急速な社会不安や政治的不安定化につながる可能性があります。東南アジアで今後50年の平和を確かなものにするために、4IRを包括的で革新的な成長を伴ったものにする必要があります。
著者:Jayant Menon氏は、アジア開発銀行の経済研究地域協力部の首席経済学者であり、オーストラリア国立大学経済学部のArndt-Corden研究員の補佐を務めています。
Anna Fink氏は、アジア開発銀行の経済研究地域協力部の経済学者です。

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